はずれなしの異色短篇集

『ニセ札つかいの手記 - 武田泰淳異色短篇集』
武田泰淳

武田泰淳といえば『ひかりごけ』の作者で、戦後文学の重苦しいイメージや、人間の根源に関わる、なんだか小難しい話を書く人・・・と思っていたのだけれど、本書を読んでガラリと印象が変わりました。
眼の悪い男女の恋愛を描いた『めがね』、ゴジラを倒すために編成されたチーム内で起こる事件を追う『「ゴジラ」の来る夜』、はずみで殺人罪を犯してしまった人の、驚きの一瞬を切り取った『空間の犯罪』、ニセ札を受け取って使うことを仕事にしている男の『ニセ札使いの手記』などなど、バラエティに富んだ珠玉の短編集です。