ファンタジックな横山秀夫

『影踏み』
横山秀夫

『半落ち』『64(ロクヨン)』などの重厚で生真面目なイメージを持って本書を手に取ると、面食らうかもしれない連作短編集。
何しろ主人公が泥棒というダークヒーローな設定に加えて、亡くなった双子の弟が彼の中に生きていて語りかけてくるのだから。しかもその弟は抜群の記憶力の持ち主で、盗みに入った家の細部や、チラ見した張り紙の一言一句までを完璧に覚えて兄の仕事をサポートするのです。さらに兄弟には共通の想い人がいて・・・。
そんなファンタジックな世界の中にも、ストイックで硬派な横山秀夫の持ち味が同居している稀有な作品。嫌いでなければぜひ。