少しずつタガが外れてゆく快感

『竜が最後に帰る場所』
恒川光太郎

どこにでもありそうな普通の話。そんな日常から始まり、気が付くと異質な世界の入り口に立たされていて、遂には後戻りできなくなる。そんな不思議な力を持った5つの短編集。

どの話もそれぞれに魅力的だけど、特に印象に残ったのは「夜行の冬」と「鸚鵡幻想曲」。
「夜行の冬」は、最初「銀河鉄道の夜」みたいなお話?と思ったけれど、最後は「蜘蛛の糸」のような恐さにゾクっとさせられます。
「鸚鵡幻想曲」は、よくもまあそんな設定を思いつくなあと感心しながらも、決して独りよがりでない世界観に引き込まれました。
ラストは壮大な生命の物語、「ゴロンド」で幕を閉じます。
久しぶりに心地よい読後感に浸れた一冊でした。