その祈りは誰から誰に届けられるのか

『好き好き大好き超愛してる。』
舞城王太郎

「愛は祈りだ。 僕は祈る。」
印象的な書き出しに引き付けられるものの、その後に続く文章は背筋がむずがゆくなるような愛の物語だ。続く章ではグロテスクな描写が続き、私はちゃんとこの本を読み終えられるのか不安になった。

章が変わるたび、登場人物も変わり、新しい世界が現れる。読み進めていくと、小説家を主人公とした一連のストーリーの中に、いくつかの小話が挿入されている構造だとわかって来る。作者の独特な文体にも慣れてきて、次はどんな世界のどんな話が始まるのか、ちょっと楽しみになって来る。
それぞれの話に一貫したテーマとして、愛が語られる。

「僕は祈る。」
その祈りはひょっとしたら作者の祈りで、私たち読者に向けて届けられる祈りなのだ。