目の見えない恐怖と闘う

『闇に香る嘘』
下村敦史

この物語の主人公は、頑固で、自分勝手で、疑り深くて、偏屈な盲目の老人です。
透析に苦しむ孫のために腎臓移植の検査を受けますが、結果は不適合。兄に移植を頼んでも頑なに断られてしまい、今まで兄と信じていた男は偽物なのではないか?と疑心暗鬼にかられるのです。

最初は「いくらなんでも疑りすぎでしょう、目が見えないと人はここまで疑り深くなるの?」と思いながら読んでましたが、そんな彼の前に本物の兄だと名乗る人物が登場します。

目の前にいる相手を信じていいのか?
自分は騙されているのではないか?
誰かに命を狙われているかも知れない――!

全盲がゆえに押し寄せる恐怖と闘いながら、真実を見つけ出そうとする主人公を、いつしか応援していました。

謎が解けて一変する世界と、読後感も良い作品です。
ミステリ好きにも、そうでない人にもおススメの一冊。