チョコレートボンボンのように1つ1つの推理を味わう

『毒入りチョコレート事件』
アンソニー・バークレー

毒入りチョコレート事件。そのタイトルから想起されるのは、バレンタインデーに絡む毒殺事件か、それともお菓子のパッケージに「毒入り危険」などと書かれて世間を騒がす事件でも起きるのか―? 読んでみるとそのいずれでもない、複雑怪奇なミステリーでした。

まず、ある男のもとにりチョコレートの試供品が届くのですが、彼はそのチョコレートを口にすることなく、その場に居合わせた別の男が持ち帰ります。そして実際にチョコレートを食べて死んだのは、持ち帰った家の奥さんなのでした。

毒入りチョコレートは誰を殺そうとして作られたのか、そして犯人は誰なのか?
迷宮入りとなった事件に、われこそはと「犯罪研究会」の面々が挑みます。

各人の独創的な推理が繰り広げられるなか、浮かび上がってきた真相とは――?

特に大きな仕掛けがあるわけではありませんが、ミステリ好きなら楽しめる一冊。無駄のない、すっきりとしたラストも私好みでした。