誰が彼を看取れたか

『新装版 海も暮れきる』
吉村昭

咳をしてもひとり。有名なこの句から想像するのは孤独な老人の姿です。
俳人・尾崎放哉の晩年を描いた本書を手に取り、まず彼が41歳という若さで亡くなったことに驚きました。
東京帝大を卒業し保険会社に入社。結婚もして出世街道まっしぐら。勝ち組のエリートコースを歩んでいた彼が、なぜこんなに寂しい句を残して死ぬことになったのでしょうか?

その理由は読み始めてすぐにわかりますが、自らの死期が近付くのを感じながらも、自作を句集にまとめることもせずに、常に新しい句を詠み続けた放哉の、壮絶な人生に感銘を受けました。