爽やかで、駆け抜けるように読める一冊

『風が強く吹いている』
三浦しをん

家賃3万円の、今にも崩れ落ちそうな竹青荘に住む大学生10人が、箱根駅伝の頂点を目指して奮闘する青春小説。
陸上経験者は3人だけで、ほかは寄せ集めの素人集団。どんなに練習を重ねてタイムを伸ばしても、選り抜きの走者が集う強豪校に敵うわけがない。けれども彼らは、「箱根駅伝に出場すること」を第一目標にして頑張るのではなく、最初から「箱根駅伝の頂点に立つ」と高らかに宣言する。

とても無謀だと思うし、所詮は作者の描いた夢物語と笑い飛ばすことも出来る。
でも、箱根駅伝に限らず、どんなジャンルでも、いつの時代でも、奇跡と思えるような偉業は「不可能への挑戦」から生まれるのだ。

「できそうなこと」ではなく「とてもできないこと」にあえて挑戦する意義。
それを指導する者がいて、一緒に目指す仲間がいる、そんな美しい世界を、この小説は描いている。

箱根駅伝に全く興味のない人にもおすすめの一冊。